父の帳面

会計時に高額療養費のなんたらかんたらをどうたらこうたらとのことで、モメにモメましたけれども、父が退院しました。

父の荷物を片付けていますと一冊のノートが出てきました(と書きますと、父が死んだような気分だが、実は生きたまま退院した)。
そういえば、入院早々「ペンと帳面を持ってきてくれ」と頼まれまして、カギをキーっつって、10円玉をコインっつう父ですが、ノートのことは帳面と呼ぶので、「心が引き裂かれる思いだわ」と言いたくなったことを思い出しました。

ノートには「○月○日、家内来院」とか「○月○日、谷垣禎一に決定」とかの記述がありまして、わたしは一度も登場しませんが、何ページかに渡ってカッパが登場します。カッパの絵がです。
父の絵といえばカッパでして、父に「なにか絵をかいて」とおねだりしますと、必ずカッパの絵でございまして、母いわく「お父さんはカッパしかかけない」とのことでございます。
それがまあ、ノートをパラパラめくっていますとカッパ以外の絵がしばしば登場しましたものですから、それはそれはたまげました。


ミッキーマウスによく似ているうさぎ」と、「ミッキーマウスには似てないけど名前はミッキー」の絵などなどは、看護師さんの人の作品のようですが、ブタとカニとニワトリは父がかいた。かっこいいのでTシャツにプリントしようかと思います。特にニワトリ。着ないと思うけれども。

カッパの上の「クリチルチリン」という、なんとも惜しい記述は、ヨソ様のお父様のことだとしますと、たいそうほほえましい感じですが、自分の親のことですのでそうでもないです。