父の1年

父が退院してから1年経った。この1年、父は毎日家で寝て起きた。病院にはなんどもいった。デイサービスにはなんどかいかなかった。

わたしはときどき、数年か数ヶ月か数週かに数回。父の言動にひどく腹をたて、怒って怒鳴って泣いて泣き叫び、父をベッドにのせて自室にもどり、化粧柱に頭突きしたり太ももをなぐったり二の腕をひっかいたり髪の毛をひっぱったり耳をねじったりなどしたあと、布団に体をつっこんでまくらを口につっこんで叫んでえずいてでんぐり返り等をして掛け布団やらシーツやらとからまり、いろいろ破ったりしながら両腕をだして両あしをだして床バン床ドンして起き上がる。ネットで親子やら介護やら殺人やら量刑やらを検索して読み流し、あ の人の twitter *1 を読みまくりモニタに中指たててモニタに唾液ぶっかけて、髪をブラシでとかし、手にハーバシンをぬり、手の臭いをすいこみ、爪にやすりをかけ、布団をたたんでまくらをのせ、部屋のまんなか、階下の父の真上で大の字にねころび、耳に涙を入れないようにときどき起き上がり、「母親が死んで毎晩泣きながら寝てたら中耳炎になった」と学校の先生が言ってたと母が言ってたことを思い出す。そのうち家族の誰かが帰宅して、父とわたしはその日はもう顔をあわせない。翌日、朝食をとっている父が「おはよう」と言うので、きのうの朝やおとといの朝と同じように無視してイスの下に落ちてるバナナやらトマトやらをひろい、以前はイヌがダッシュでやってきてうなりながら食べてたことを思い出す。


この1年は、そんなに興奮するようなことがなかったような気がするけど、おぼえてないだけかもしれない。1年は長いんだか短いんだかわからないけど、父は20キロわたしは10キロ体重が増えたので、重さにすると30キロ。30キロが重いんだか軽いんだかわからないけど、わたしはちょっとやせたい。さっき、ピザポテト明太マヨ味ひとふくろ食べたけど。