父のみだしなみ


父が自宅で点滴をしてもらうことになり、医療の人々が来てくれました。人々が帰られたあと、「見守り」というのをしてました時に、じっくり父の顔を見た。

鼻からすごくすごく長い毛が出ていましたので、「あとで鼻毛切ろうか?」と提案すると「ええ」とのことで、この「ええ」は「よい」の意で「切らなくてもよい」ということです。「すごく長いよ」「ええって!」ご立腹のご様子。Re:せっかく切ったるって言ってんのに!を思い付いたが「あ、ごめん」と言って母と交代。
父親がイワユル「バーコード頭」で、そのスタイルが好きではなかったという友人に、家族は注意や助言または希望を言ったりしないのかきいた。こたえは「何度言っても変えてくれなかった」。
親は、子の外見について注意や助言して矯正気取りですが、子からの注意や助言は受け入れられないものなのかなと思いました。立場上。
わたしが「あなたのためを思って」みたいな感じの気持ちになるとき、だいたい嘘で、わたしは自分の都合の良いようにしたいと思っていて、「わたしのことを思って、あなたの鼻毛を切らせて」ということで、「わたしの要望を呑まんのなら、わたしはあなたに利益を与えない。回避したければ、あなたの鼻毛をわたしに切らせよ」という恐喝のようなことだと思います。
わたしの脅しは父には通用しませんでして、父には利益をもたらす妻がいるからで、それはわたしの母で、しかしわたしの母は、わたしが感情的になるとたいそう怯える。
父のことに関して、母とわたしはチキンレースとか囚人のジレンマとかみたいな感じのなにかをしてるみたいと思っていたけど、どうやらなんだか違うようで、わたしがちょっとちょっと脅されながら成人したように、母は今脅されながら高齢者になっていて、わたしはわたしが気がつかない間に強い立場に移動したのかもしれんと思った。
はっきりわからないのですが、それはなんか支配のようなことと思って、とてもおそろしいことかもしれないと思って、両親の前では感情的にならんようにするしかないと思って、どうでもいいけどわたしは疲れた。トトかロトかを買うと母が言って、キャリーオーバーだとか何億円だとか言って、でも CM に出るのは恥ずかしいと友達と話してんと母が言って、お金があっても健康がないよねとわたしは言って、とにかくわたしはそのことは間違いだったと思う。

翌日は診察がある病院で点滴をして。鼻毛そよそよ。サラダ記念日。