三段重ね。
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「サブ文化資本
中学生。好きな種類のモノがなかった。幼なじみと同じ運動部に入り、となりの席の子とダウンタウンのイベントに行き、家にあった「女の勲章」を読んだ。

授業で、アニメ映画「風の谷のナウシカ」をみた。ななめうしろの席の男子生徒の予言通りに映像が流れ登場人物が行動する。火薬と銃をどうにかしてレンズをはずすシーンでは解説があった。振り返って(振り向いて?)この映画をみたことがあるのかとわたしがたずねると男子生徒はだまってしまい、もういちどたずねると「あかんのかよ!」と大声を出した。
学校行事「恒例の壁新聞づくり」では、絵がうまいと評判の男子生徒が、飛び降りている(落ちている?)ような男女の絵をかいていた。これはどういう絵かわたしがたずねてもまともにとりあってもらえず、ポスカで着色される絵をただみていた。手をとめた男子生徒が顔をあげ「もうええやろ!帰れや!」と大きな声を出した。


こわかった。
こわかったけどべつにふつうみたいに。ああ?きいただけやろ。と返した。つくえをドンドン、床をバンバン鳴らして、わめくな!こたえろ!!とつづけた。


家人がアニメ映画「火垂るの墓」を好きではなく、テレビ放送があってもみない。つよくさける。映画館でも実家でも自宅でも友人の家でもよくしらない人の家でもみたであろうたとえば、「紅の豚」や攻殻機動隊関係のものは、まだまだなんどでもみようとするのに。マンガ「はだしのゲン」も好きではないとのことで、登場人物の不幸がはじめからわかっている物語についての思いをはなしてくれた。実話がもとになっていることや、なじみのある方言についても。
出会ったころには、あれやこれやのアニメ作品のつながりをおしえてくれ、「となりのトトロ」をいっしょにみた。気持ち悪い。姉妹の両親はどうかしてる。タチが悪い。殺したい。だれをなにをかわからないし、意味も方法もしらないけど、ゆるせない。二度とみたくないと告げた。
宮ざき勤の部屋がテレビや週刊誌で紹介されて以降の家族とのかかわりや、それ以前からあった「中学生にもなってまだこんなものを」という圧力についてもきかせてもらった。わたしがその年頃に感じていたのは「まだ中学生なのに」という空気だった。
男子生徒のとつぜんの大声の理由を考える。


わたしは「火垂るの墓」がおそらく好きで、清太が火事場泥棒をすることが気持ちよくて、畑荒らしがバレてボコられおちこんだりもしたけれど、わたしはげんきです。と糸井重里に伝えたい。ズタズタの左腕をみせて大声をだしたい。


おおかみこどもの雨と雪」のタンスがでかすぎるのではないかと思ったことがあって、清太が着物をひっぱりだしたタンスはどんな大きさだったかなあと思った。ことがある。さいきん「火垂るの墓」がテレビで放送されていたけど、やっぱりまたまたみなかった。ふたりでみることはない。「となりのトトロ」も。


おわり。