決めなくてはいけないこととかときとかがあって、決められないのは仕方ないのかもしれないのですけど考えるとか調べるとか読むとかはしてほしいと思うことが多く、デート中の食事についてなに食べるなんでもいい中華にしようか中華はちょっとじゃあイタリアン……とか、夕飯なに食べたいなんでもいいよそれが一番こまるんだけど……とかの架空のやりとりはとても良いことのように感じる。電気ケトルの容量やらくらくスマホ4の色は決定しないと購入できないし、婚姻届に記した「婚姻後の夫婦の氏」で夫婦はくらしていくことになる。なぜそうしたかという自他からの問いと、正誤善悪の自問はずっとつづく。医師はおそらくなにかをわかっていたり知っていたりするだろうけど親族がそこにいる場合はドクターはうながすだけでどうするかは親族が決める。身近な人のとき。わたしたちにはドクターからていねいな説明がありそのあいだずっと医療スタッフによる心肺蘇生はつづけられていて、母が「もうやめてもらおうか」と言って兄の妻は「はい」と言った。そのときの母と、兄の妻にわたしはまったく同意したし今もずっとそれはそう。


生活に看護や介護があると決めなくてはいけないことやときは多く、看護や介護を受ける本人の決定の力が小さい場合は関係者が決めることになってて(想像では育児も)、わたしどもについては被介護者の親族がそれをします。「保証人にだけはなるなと言われて育った」とか「金は出しても口出すなということだ」とか発言することは思考停止の発表だと長いあいだ思っていて、決まり文句のあと、入院・入所の保証人を断られても転院先の病院の選択を丸投げされても、思考停止してるんだなバカになったんだから仕方ないなと思っていて、しかし。同じようなことばをくり返し聞いているうちにもしかすると言い聞かせているのかもしれないと思い、自分自身に言い聞かせているのかもしれないと思い。やらないということを実行するということは勇気がいることで、自分がやらないことをだれかにやらせるのは甘えだとしたら、勇気もないし甘えることもできず先祖の遺言とか一般論とかみたいなことばにすがっているたいへん気の毒な状態なのかもしれず、舛添要一さんが言い続けた「介護はプロに」ということばも、西原理恵子さんがパートナーの介護はしないと公言するということも、それらを支持する人々のことも。決断がゆらがないように、後に続くだれかの気持ちが少しでも楽になるように自分自身にも公にも言い聞かせてがんばってるのかもしれないと思うようになったのだけどわたしがこの人たちのこのようなふるまいを支持しないということは変わりなく。現状「介護はプロに」は「介護は自分以外のだれかに」ととてもそっくりで、外国人技能実習生とか両親と同居している未婚のきょうだいとかナース(マン)とか。それぞれいったいなんなのか、未成年者や障害者や高齢者の保護責任者とはいったいなんなのか。


「金は出しても口出すな」に関しては、本人宛の請求書にあるだけが経費じゃないのであるならあるだけ出してからそう言ってほしいし、入所とか転院のときにフィットした情報と意見と本人への説得はしてほしいし、そもそも圧倒的にたりないのは手足で。ベッドから車椅子への移動に手を貸してほしかったし家から病院までの足(車)を出してほしかった。自宅と急性期病院の往復をくりかえす状態を脱し、父はとうとうやっと療養のルートに乗ったので今後の移動は病院と相談ということになった。親族の足はもういらない予定だが、医療療養と呼びつつ中身はほとんど介護療養で今後どんな変更があるかわからない。介護はおむつ交換することばかりではないけどおむつを交換するにもひとりよりふたりがスムーズで、食事介助に3人4人は多いとは思うけど介護者が多すぎるという現実を未だ1日も経験したことがないのでわからない。


西原理恵子さんが言ったらしい「家族が不調なときに1番やっちゃいけないのは、親戚のおばちゃんにアドバイスをもらうこと」という現実はどなたかに。もしかしたら若い人々にあてはまるのかもしれないのだけど、年齢は関係ないのかもしれないのだけど、わたしの身近な「親戚のおばちゃん」たちは自分か家族が介護者か被介護者か病人のどれかで。こちらはアドバイスを、説明や契約のときには立ち会いを、現金の移動のときは付き添いを求められる。子らに相談して「おかあさんのしたいようにしたらいい」「おかあちゃんの決めたことに文句はないよ」などと言われたことをはなすおばさんの背中に手をあてる。母の背にはだれかが手をあてる。どうしたらいいのかわからないのは考える頭がたりないからかもしれないのだけど、考える人間の頭数がたりないのかもしれず、なにをどう決めても必ず後悔することはすでに知っているのに決定しなければならず。
手出しをして足を出して考えたことを口に出してお金はもっと出してほしい。ない人はいいです。


参考(参照?)