感謝

「すいません」とやたら言う人が身近にいて、大昔だれかからきいた、ありがとうタイプとすみませんタイプの人間がいるとういうはなしを思い出して、まあそのはなし自体がどうでもいいことだなと思って、イエイエなんもなんもとか、うんうんだいじょうぶとか応えているのですけど、ちょいとのガマンはしていまして、日々。ありがとうとすみません、感謝と謝罪、どう同じでどうちがうかわかりませんしわかる気はあまりないしそんなことわかる気がしない。「どもー」とかですまされるほうがマシだと思いつつ、それはそれでどうせわたしは気分が悪いはずでしょう。なにせ狭量で自分でもやっかいなほどですから、「すいませーん」ときくたびに気分が悪くなる日々でして、しかしまあおそらく先方もなにかとガマンしてることでしょう。そしてそれはわたしにどうにかできることではない。

 

近隣でくらしていた老女(故人)はよく「ごめんねー」と言う人で、めがね忘れてましたと言っても、お久しぶりですと言っても、クモがあるいてるよと言っても「ごめんねー」と返すのでそのたび、こいつバカじゃねーかと思っていた。いまは、変わった人だったなと思っています。

 

すいませんとやたら言う人が感謝のことばを述べるシーンにたまたま出くわしたので傾聴してますと、そんなこんなもお題目をあげてたからということで、自分たちの生き方はまちがえてなかったということだったので、はっきりなにとはわからないけどなるほどな!なんて気分で、動作としては右手で右の太ももをペチペチたたきました。他者の言動そのものについて、嬉しい気持ちとか感謝の気持ちはないというその告白はたいへんにありがたいです。告白をきけたことにではなく、告白したその人に感謝する。そして。バカじゃねーかと思っている。